介護の世界においてフレイルとは、健常な状態から要介護の状態へと移行する中間の段階であるとされています。
人間は、脳疾患や事故などによる場合を除き、齢を重ねてある日突然介護が必要な状態に陥るわけではありません。
徐々に身体の機能が衰えていって、周囲のサポートなしでは生活に支障をきたすようになっていくのが通常です。
フレイルになると身体機能が衰えるだけでなく、外部環境やストレスに対する抵抗力も弱まっていきます。
そのため、このような状況に陥っている高齢者をいかに迅速に見つけて必要なサポートを提供できるかが、介護においては重要となるのです。
もっとも、これは言うほど簡単なことではありません。
明らかな疾病と異なり、フレイルは筋力の衰えや疲れやすくなるなどといった症状の積み重ねによって生じるものですので、よほど注意して観察していない限りは周囲の人間がそれに気づくのは難しいのです。
また、認知機能の障害や躁鬱などの精神疾患のなかにもフレイルに含まれるものがあります。
なので、そういった症状についての知識を有しておくというのも介護を行う上では重要となります。
フレイルのなかには、早期に発見して適切な治療を行えば、要介護状態になる前に健常な状態に戻せるものもあります。
少子高齢化が進む社会において少しでも要介護者の人数を減らすことは重要な課題です。
介護に携わる方は、周囲の高齢者がフレイルになっていないかどうかについても気を配るようにするとよいでしょう。